【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は角川ビーンズ文庫から7月1日に刊行される『人見知り乙女と鬼の婚約者 期間限定婚約のはずが、永遠の愛を誓われました!?』です。みなさんの感想も聞かせてください!
よくインターネット上でも目にする「みんな」という文字。子どもの頃に「みんな買っているよ」とか「みんなやっているからさ〜」みたいに親に訴えたという経験を持つ人も少なくないはずだ。しかし、そのみんなとは誰か。目に見えない同調圧力に負けているだけではないのか。そこに自分の意思はあるのか? ただ空気に飲まれて、言いたいことも言えない、なんてことも、日本人の大半は共感してくれるはずだ。
本作の主人公・緋菜は、そんな同調圧力が蔓延る社交界の中でも、自分の意思を強く持ち続けていく。自分の主人が何者なのかで虚勢を張る婦人の前でも、自分が何をしたいのかを強く持ち続けて……。そんな彼女の様子を、これまで一人でいた周が惚れないわけなどない。――というよりも、これだけ好奇心旺盛で、自分の危険も顧みずに謎へ没頭していきつつ、妖である立場にも分け隔てない気配りを見せる少女。そんな彼女が好きにならないはずがないのだ。
もし自分が緋菜のような立場になっていたら? 連続失踪事件の対象となると分かった時点で逃走するだろうし、少なくとも祇園寺家に偽装婚約もしに行かない。そうするとラブロマンスも何も起こらないのだが、それだけにこれだけ芯の強い緋菜のことを尊敬してならないのだ。自分も絶対に「みんな」の一員になって、何も言えないから……。そんな芯の強さがある故に、求婚される理由も納得のラブロマンスである。この胸キュンには、「みんな」納得するはず!
文:太田祥暉
ざっくり言うとこんな作品
1)あまり仕事が長続きしなかった主人公・緋菜が期間限定で勤めることになったのは、鬼族の当主との婚約!?
2)緋菜は妖に育てられてきた人間。周囲には常に妖がいた彼女にはなんと、彼らを惹きつける特殊な力があって……?
3)期間限定で婚約するはずが、どんどん鬼族の当主・周からの愛情がマシマシに……? 求婚される展開がたまらない!
主要キャラ紹介

真ん中:緋菜(ひな)
妖に育てられた19歳の女性。そのため、霊感が強く、妖を視認することができる。人見知りな性格でこれまであまり仕事が長続きすることはなかった。学術書が大好き。
右:周(あまね)
世の中にその名を轟かせる名家・祇園寺家の当主。その実は鬼の一族であるが、数年前に起きた事件により彼以外は亡くなってしまった。婚約者を取っ替え引っ替えしているという噂がるが……?
左:マダラ
猫又の妖。緋菜を守る、よい妖である。そのため、周にもあまり懐いていない。
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