【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は7月10日に刊行された『勇者は論理で死に絶える』です。みなさんの感想も聞かせてください!
これはまた、とんでもない探偵ものが出てきたもんだ。いや、それとも勇者ものか?
異世界から帰還したことで得た超常的異能、ウソがわかるギフト【虚構破り(ノン・フィクション)】を持つ「勇者」である千才一愚(すごい名前)が、「探偵」であるリボルバークイーンに命を狙われるところから物語がスタート。理から外れた異能力者の居場所が魔王のいない現実にはないってのが理由なんですが、順番に驚きをトレースするとーー
なんで探偵が勇者を殺そうと?
勇者ってあの勇者ですよね??
探偵って殺し屋じゃないですよね???
ってなりますよね? でもちょっと待ってもらいたい。
探偵ものも勇者ものも最近のライトノベルのトレンドなんで、それを掛け合わせてゲシュタルト崩壊したのかなんて考えたんですが、そうじゃないんです。
いえ、そこじゃないんです。
この作品の見どころは!!

理から外れた異能力者「勇者」が、理の執行役である「探偵」とガチガチの理で戦うのが、すばり見どころです。
まず前提として、「探偵は勇者の『ギフト』を明らかにしなければいけない」という理があって、探偵は論理的に勇者の「ギフト」を暴かなければいけない。
勇者は「ギフト」を使って探偵から逃れようとするんだけど、「ギフト」を使っているのがバレてはいけない。
さらに登場人物それぞれの理もあって、千才一愚だったら「他人を殺してまで生きたいとは思わない」を必ず守って戦う。
もう、理に雁字搦めなんだけど、勇者と探偵で論理を上回る論理を展開し、それの上を行く論理で対抗する。
そしてまたそれを上回る論理、さらに上を行く論理で、決着の行方がわからない!
理で追い詰める探偵と、それを真正面から理で迎え撃つ勇者。
私の理がゲシュタルト崩壊してますが、これは断言させていただきたい!
これはまごうことなき、勇者もので探偵ものであると!!
文:勝木弘喜
ざっくり言うとこんな作品
・生き生きとしたキャラクターの魅力
ギャルの姿をした最強の銃使い、まちがえたことのない常識外の名探偵、ウソがわかる不運すぎる勇者、強者たちが己の理をぶつけ合う!
・論理と異能力がぶつかりあう現代異能バトルの外連味
勇者の『ギフト』を論理で明らかにする探偵と、探偵の目をかいくぐり『ギフト』を使う勇者がガチバトル!
主要キャラ紹介

千才一愚(せんさい・いちぐ)
ろくでなしの親に違法薬物『異世界転移(トリップ)』を与えられ、六歳で他人のウソがわかるギフト【虚構破り(ノン・フィクション)】を持ち《勇者》となった少年。

独希(ひとり・のぞみ)
ギフトを持たず、超常的な洞察力で未来を見通す名探偵。名探偵として活動していないときはポンコツ。

リボルバークイーン
頭の緩いギャルは仮の姿。その正体は勇者のギフトを暴いて殺す探偵であり――。

星宮キラリ(ほしみや・きらり)
高度探偵養成機関・守地野学園の人懐っこい新入生。彼女のおねがいの効力たるや絶大で――?
- ミステリー
- 勝木弘喜
- 学園
- 読書感想文レビュー
関連書籍
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勇者は論理で死に絶える君は、ギャルに銃殺されそうになったことはあるか? 僕はある。なぜなら、この世に存在してはいけない異能を持った《勇者》だから――。
異能を授ける違法薬物が出回る日本で、運悪く勇者になってしまった僕・千才一愚は追われていた。《探偵》に異能を暴かれれば死。殺されるはずの僕を救ったのは、どんな問題も解きほぐす探偵・独希だった。
勇者でありながら探偵を目指すことになった僕を待ち受けるのは、ミステリアスな彼女との同居生活、ギャルとの再会(※地味子偽装状態)、生意気な妹ヒロインの爆誕。――というのもありつつ。
立ち向かうのは教室に紛れ込んだ勇者を見つけ出す入学試験。そして、探偵の抹殺を目論む勇者組織との戦いに身を投じることになる――。発売日: 2025/07/10電撃文庫