【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は7月10日に刊行された『好きだった子をメイドにしたら、俺の部屋でこっそりナニかしている』です。みなさんの感想も聞かせてください!
メイドものといえば、ラブコメ定番ジャンルのひとつ。そして本作のヒロイン・氷坂清耶香は自分にとって、かなり刺さるタイプのメイドキャラだった。なにせ、押しかけメイドさんなのだ!
仕える立場のはずのメイドさんが、あれよあれよと生活の中に入り込んできて、ご奉仕を通して外堀を埋めていくあの感じ…。めっちゃよくないですか? ご主人様を“受け手”に回らせてしまうような関係性のねじれが、好きな人にとってはたまらんのです。
くわえて、継司と清耶香は同級生。学友ならではの歯に衣着せぬやり取りは、ただの家主と居候って感じで、それはそれで気楽で楽しい。だけどこの清耶香さん、時々思い出したかのように敬語を使い、不意打ちで「ご主人様」と呼んでくるからズルいのだ! 一般的なメイドさんのそれより、何倍もの破壊力を持って響いてくる。緩急の効いたセリフ回しには、たまらず心ゆさぶられたなぁ~。
そして、メイド志望のくせに朝が弱い一面があったり、隙があるところも最高だった。「朝食のご用意ができてません……」ベッドの上で寝ぼけながらの弁明には、もうニヤけるしかないって! 普段は完璧な子がポロっと見せるポンコツな部分って、どうしてこうも愛おしいんだろうね?

こんなメイドさんがもし目の前に現れたら、自分ならよろこんで即雇用しちゃうだろうなあ…と思う一方、ちょっぴり不穏な予感を抱きながら読んでいたのも事実。だって、押しかけメイドなんて絶対「ナニか」あるでしょう。(むしろ、あってくれ!)
そういうミステリアスな設定含めて、ヒロインに心をガッツリ掴まれてしまう作品でした!
文:赤川 恵
ざっくり言うとこんな作品
・同級生で、主人とメイド。奇抜な関係性による応酬は、二人にしか出せない味! 楽しい会話をずっと見ていられる!
・メイドヒロインとの日常ラブコメだけじゃない。自称クズの主人公が、しごできメイドの手によって“ご主人様”に仕立て上げられていく!?
・普段はヘラヘラしつつも、いざという時に垣間見える継司の胆力と判断力。実力を隠した主人公のカッコいいシーンにも注目!
主要キャラ紹介

氷坂清耶香(ひさか・さやか)
特待生として名門校に通う才女。教室では近寄りがたい氷の美少女だが、家では献身的なメイドに変身。正式に雇ってもらうべく、家事全般をそつなくこなして継司をお世話する。

清宮継司(きよみや・けいじ)
高校入学を機に広すぎる屋敷で一人暮らしを始めたものの、生活感はワンルーム男子そのもの。メイド志願者として現れた清耶香に、実は密かな好意を寄せている。

曾我野舞姫(そがの・まき)
金髪ショートの派手なギャル。三度の飯より噂話が好きな自称・情報屋。荒っぽい生徒すら巧みな話術で黙らせてしまう。いつも継司にダル絡みをしてくるが、頼れる友人。

万里辻杏璃(まりつじ・あんり)
名門・万里辻家の令嬢。古風でお淑やかな京美人。継司とは昔からの付き合いで、彼に求婚を迫るような仲。交渉術にも長けており、優美さの裏にしたたかさが光る。
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- 赤川 恵
関連書籍
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好きだった子をメイドにしたら、俺の部屋でこっそりナニかしている 1清宮継司は由緒正しい名家の一人息子。だが事情があって家は継げず、別邸で一人暮らしを楽しんでいた。ある日、上流階級の同級生たちすら一目置く優等生・氷坂清耶香がメイド服を着て転がり込んでくる。
「いくら俺でも、同級生を金で雇うほどクズじゃないぞ」
「雇ってくれないなら、メイド服を着た宿なし少女が爆誕するわ」
「断ってもクズになるのかよ!」
「今ならあなたが期待する『ご奉仕』もついてくるわよ?」
「…………」
「あ、ちょっと揺れたわね」
密かに好きだった女子と一つ屋根の下なんて精神がもたない!
けど清耶香は、たまに俺の部屋を漁って何をしてるんだ?発売日: 2025/07/10電撃文庫