【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は7月15日に刊行された「ときめきの中華・和風恋愛小説コンテスト」特別賞作品『こもり姫の薫香帖 ~出会いはときめく恋の香り~』(著:砂里えり先生/イラスト:未早先生)です。みなさんの感想も聞かせてください!
『竹取物語』というお話がある。月からやってきたかぐや姫が、求婚者に対して無理難題を叩きつけ、結局は誰とも結婚せずに帰っていくというお話だ(語弊がある)。絶対に結婚したくないからそんな無理難題を突きつけたのだろうな、とこれまでは感じていた。しかし、最近ふとXで見たポスト「恋人が○○(義務教育で習う内容)も知らなくて冷めてしまった」(要約)にとあり、もしかしたらかぐや姫も、自分の無茶振りについて来られるようなとんちの聞いた男を欲していたのかも……と脳裏に過ぎったのだ。
思い返してみると、自分も現在の妻と結婚を決意したのは、話が合ったからである。好きなものがニアリーイコールであり、自分にはない引き出しも持っているけれど、話がし続けられること。そうでなければ、どれだけ良い人であっても、結婚を決意することはできなかったかもしれない。

本書の主人公、咲良も縁談相手を次々と振っていく。薫物に対する知ったかぶりをした男を振ったり、価値観の合わない者を追い返したり……。その果てに、最後の相手として会うことになった有馬とは、どんどん薫物を軸に、話を進めていく(最初は断っていたものの)。そこからどんどん恋に落ちていくわけだが――それもむべなるかな。話題が合い、新しい世界に誘ってくれる男が出てきたら、どれだけ自分より身分が低かろうと、胸がキュンキュンしてしまうもの! ミステリ要素もある作品ではあるものの、平安風の世を舞台とした胸キュンラブコメとしてドキドキしっぱなしの一冊だった。
叶うなら、結ばれた後のドタバタエピソードも読んでみたい!
文:太田祥暉
ざっくり言うとこんな作品
・世間からは変わり者呼ばわり⁉ それでも薫物に情熱を注ぐヒロインの真っ直ぐさに、思わず応援したくなる!
・押しつよ少将の一途なアプローチに、ドキドキが止まらない!
・禁制品・伽羅の密売事件の真相とは⁉ 恋と謎が交差する香り高き平安風ファンタジー!
主要キャラ紹介
咲良
小野家の二の姫。薫物づくりは、職人顔負けの腕前。次々と縁談相手を追い返すことで「小野の知らぬの二の姫」と噂されている。
有馬
衛門府の少将。地方出身ながら若くして抜擢された実力派。咲良の薫物に惚れ込み、自ら縁談を申し出る。
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