【新作文庫先読み感想文レビュー】
今回は7月25日に刊行された『今宵は異世界探偵事務所で』(著:夜光花/イラスト:石田惠美)です。みなさんの感想も聞かせてください!
なるほどなぁ、そうだよなぁ。
そういう気持ちになったのは確かなんですが、本作が探偵ものだからではありませんで。いえ、探偵ものらしい「犯人はお前だ」的ななるほどももちろんあるんですが、まず異世界の方ですね。
探偵の城金有史と助手の鵜戸亮が、異世界転移して探偵事務所を開くんです。異世界行ったら勇者とか冒険者とか、まあ聖女とか悪役令嬢とかあるじゃないですか。
でも二人が行った世界は、いろんな時代のいろんな国から何人も転移していて、受け入れ態勢もばっちり。何か使命があるわけでもなく、好きに生活してくださいって感じなんです。
なるほど、そうなんですよ。
一人だけ異世界転移してるって、前から疑問だったんですよね。一人転移できたら二人、三人いてもおかしくないじゃん?二人の方が心強いですしねぇ。
それから異世界で探偵を始めるわけなんですが、依頼されるのは浮気調査ばかり。
そうそう! 現実でも探偵が殺人事件を解決することなんて、まずないですもんね! たいてい素行調査か浮気調査。そうだよなぁ。
二人が現代の探偵技術で浮気調査を次々解決して大活躍する様子が楽しめるんですが、有史と鵜戸の探偵コンビもある意味なるほど。
いえ、探偵である有史より助手である鵜戸の方がイケメン有能っておいおいな凸凹さが楽しくはあるんですけど、口が悪くて女性に冷たい鵜戸に対して名探偵に憧れる有史の方が、好かれる主人公って感じでなるほどなんですよね。
このなるほどな、そうだよなって納得感が、異世界転生ものには実はなかった新鮮さなんですよ。
みんなこの作品で、なるほど主人公って鈍感だよなぁってなってほしいですね。このにぶちんが!
文:勝木弘喜
ざっくり言うとこんな作品
・事件を颯爽と解決する名探偵に憧れ探偵となりながら喧嘩すらほとんどしたことのない有史と、口が悪く有能イケメンな助手鵜戸の凸凹コンビが異世界で探偵業!?
・現代で浮気調査ばかりしていた二人の、異世界での仕事もやっぱり浮気調査!? スマホやボイスレコーダー、ノウハウを使って、鮮明に残る証拠を押さえて大活躍!
・浮気調査の実績を積んで着実に依頼を増やしてく二人に、不審な殺人事件の情報が! 遂に舞い込んだ名探偵への第一歩に、有史と鵜戸は見事解決に導けるのか!?
主要キャラ紹介
城金有史(しろかね・ゆうし)
名探偵に憧れ、商社を辞めて探偵事務所を始めたアラサー。いつか探偵小説のような事件を解決したいと望んでいるが、喧嘩さえほとんどしたことがなく浮気調査ばかりの日々。
鵜戸亮(うど・あきら)
有史の中学校時代の後輩で、ブラック企業勤めで憔悴していたところを有史にスカウトされ探偵助手になる。語学に秀で身体能力が高く乗馬もできる上にイケメンだが口は悪い。
六波羅三郎(ろくはら・さぶろう)
違う世界からやってくる「落ち人」の一人で、明治時代の日本人。異世界で農業革命をもたらし、男爵位を叙爵している。有史たちの先輩落ち人として様々な協力をしてくれる。
エリザベス
アーノルド子爵家の長女。家同士で取り決めた婚約者がいるが、別の女性と懇意にしていることを疑っている。証拠を掴むことを望み、強い意志で有史たちに浮気調査を依頼する。
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