【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回は7月10日発売の『フェイスレス・ドロップアウト 無貌の引退傭兵はお嫁さんが欲しい 1』です。みなさんの感想も聞かせてください!
スローライフ——とても憧れる言葉だ。ふだんからあくせく働いて、余裕のない生活をしているので、読んでいてものすごく心に染み渡ってきた。主人公のグレンは、30年近くの傭兵暮らしを経て辺境の惑星に移住し、嫁を見つけてスローライフを決め込もうとする。
自分は傭兵じゃないし(当たり前だ)、30年とかそんな長い年月は働いていないけど、引退してのんびり暮らそうする生き方が羨ましくて仕方がない。さらにこのグレンの強いところにも憧れる。賊どもをいとも簡単に殲滅してしまう戦闘能力の持ち主なのだ。加えて、ものすごく紳士的なところも見習いたい。賊の手から助けた女性を強引に嫁にしてもいいシチュエーションで、決してそんなことはしない。「下心は当然あるさ」といいながらも、彼女の心身が健康を取り戻し、お互いを理解できるようになるまで待つと宣言するのだ。

強くて生活能力もある。人を尊重する心の広さもある。そんな主人公だから、作中の女性誰もが惚れてしまうのではないだろうか。グレンは男としての理想の姿を見せてくれていると思う。自分が引退するのはまだまだ先の話だけど、まずはしっかり働きつつ、まともな人間として生きていこう。そんな前向きな気持ちにさせてくれる作品だった。
文:中島泰司
ざっくり言うとこんな作品
1)円満除隊した不死身の元傭兵が、なんと無法地帯めいた辺境の惑星への移住計画を敢行。目指すは悠々自適の生活と可愛い嫁探し!
2)主人公グレンの肉体の8割は義体化されたサイボーグ仕様。強化された義肢と拳による格闘や超高出力のレーザーガンでの殺傷能力は無双!
3)殺伐とした辺境の惑星で、戦いと殺戮を繰り返しながらも、農場をつくり、手作りの料理を楽しむなど、スローライフを満喫する主人公たち。
主要キャラ紹介
▼グレン
長年の戦場暮らしに嫌気が差し、傭兵を引退。辺境の惑星「リボースⅢ」に移住し、気ままな農場暮らしを始める。見た目の威圧感に反して面倒見はかなりいい。

▼エリーカ
コルディア教会のシスター。巡礼中に賊に捕らわれていたところをグレンに救出される。殺傷能力の高い刃が備わった外肢を持つ。野イチゴでジャムをつくるのが得意。

▼ライラ
行商をしているキャラバンのリーダーでかなりの商売上手。巨大な巻き角と豊満すぎる胸が特徴で、強くてたくましいグレンにメロメロのご様子!?

▼スピカ
新たなコロニーを作るために故郷を旅立った種族「フォルミカン」のリーダーで、ライラのキャラバンの護衛を受け持っている。胸が薄いのがコンプレックスのようで……。

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