【新作先読み感想文レビュー】
今回はファンタジア文庫から7月18日に刊行された『努力家な転生第六王子 前世凡人ですが、幼少からの鍛錬で世界唯一の禁忌魔法の使い手になりました』です。みなさんの感想も聞かせてください!
転生系のラノベは数多くあるが、やはり生まれ変わって新しい自分になる物語というのは夢がある。30歳で孤独死した今作の主人公にとって、レールアイン王国の第六王子・ベルティアとして生まれ変わるなんて最高の転生だったに違いない。
王妃からも国王からもたっぷりの愛情を受け、超セレブな家庭で暮らしていけるなんて勝ち組確定の転生で羨ましい限りだけれど、そんな身分に安住しない主人公のキャラクター性が私は気に入った。たとえ生まれが良くたって、そこにそのまま甘えちゃいけないよな、と背筋が伸びる気分だ。
人生を後悔しない、という目標のもと恵まれていた魔力の才能を腐らせることなく、1歳くらいから毎日ちょっとずつ鍛錬し、前向きに努力を重ねていくベルティアの姿はとっても眩しく映る。生まれ変わることなんてできない現実の世界を生きている人も、今を頑張ろうって気持ちにさせられる生き様だ。少なくとも、私にはそう思えた。
そして彼のその努力が、世界で唯一の禁忌魔法の使い手という“成果”として身を結ぶ納得の展開である。王道で、これぞという気持ち良さをぜひ体験して欲しい。

「前世凡人」とタイトルにはあるものの、ひたむきにひたすらに努力できる部分は立派な長所であり才能だと感じる。おまけに、前世で誰からも気にしてもらえなかった寂しさを知っているからこそ他者を気にかけ、助けてあげられる強さと優しさを今のベルティアは持っているわけで。今日も今日とて魔法の鍛錬を頑張る彼の姿に、思わず王妃や国王や他のみんなと一緒に「ベルティアさま可愛い!」といって抱きしめたくなる。
前世で出来なかったことや、得られなかったもの。そういったすべてをひっくるめて新しい人生をやり直す主人公のサクセスストーリーであり、今後も続きが気になる注目の一冊だ。
テキスト:タニグチ リウイチ
ざっくり言うとこんな作品
1)王子に転生した上に王妃からも国王からも可愛がられて人生勝ち組なのに、もう後悔したくないと幼い頃から毎日魔力の鍛錬に励むベルティアの努力家ぶりがすばらしい!
2)もっと強くなりたいと師事した相手が王国を救った英霊たちのひとりで『魔導の祖』と呼ばれたルミアスティ。その厳しい指導をなんなくこなして強くなるベルティアがかっこいい!
3)ベルティアの婚約者となったメイリア姫が大ピンチ。誰からも助けてもらえないのは辛いから、と周りから止められても自分で助けに向かうベルティアの勇気と強さが魅力的!
主要キャラ紹介
ベルティア
30歳で孤独死した主人公が転生した王国の第六王子。両親からも国民からも可愛いと慕われる。魔力が豊富で小さい時から魔法を鍛え死んだはずの英霊にも師事して強くなる。

ルミアスティ
王国を救った5人の英霊のひとりで『魔導の祖』と呼ばれた女性。死んだはずだったが霊体のような姿で墓地にいたところをベルティアに発見され、師匠となって魔法を教える。

メイリア
隣国のロンバルド王国の姫で7歳になったベルティアの婚約者としてレールアイン王国を訪れる。ベルティアの2歳年上。可愛らしくて物静かだが思い悩んでいることがある様子。

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