【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はファンタジア文庫から7月18日に刊行された『燃えよ剣と魔法 異世界で美少女沖田総司を召喚したら、歴史知識で懐かれた』です。みなさんの感想も聞かせてください!
新選組の「鬼の副長」こと土方歳三が異世界に転生したなら、すさまじい剣の腕でバッタバッタと魔物を切り伏せ名を轟かせても驚かないだろう。しかし、今作の主人公は土方ならぬヒジー・カーター。現代の日本から異世界に転生したただの新選組オタクである。
そんな彼が、知識はあっても乏しい魔力で英雄の召喚もままならない中、退学の危機をどう乗り越えていくのか……という物語。ヒジーには及ばないにせよ、新選組好きの私としては本作の設定はかなり心躍るものがある。
著者の春日みかげ氏は、織田信長をモデルにした美少女をヒロインとした『織田信奈の野望』などを手掛けており、歴史をテーマにラノベを書かせたら右に出る者はいないと言っても過言ではないだろう。
今作においても、ヒジー・カーターが英雄として召喚した沖田総司が巨乳の美少女として登場するなど、ラノベ的な「お約束」を踏まえつつ、歴史――ひいては新選組への愛や熱を存分に物語の中に落とし込んでおり、楽しくラノベを一冊読み切ったと思いきや、なぜか読後ちょっとだけ歴史のことに詳しくなっている自分と出会う……という不思議な読書体験をくれる。

さらに、登場する歴史上の偉人が新選組関連のキャラクターだけではないというのも本作の注目ポイント。たとえば同級生のプリシラによって英雄であるジャンヌ・ダルクが召喚されるのだが、物語中で彼女は「黒煙によって、火あぶりになったときの記憶が刺激され動けなくなる」というピンチを招くことになる。そんな風に、偉人にまつわる逸話が出てくるたび、「このエピソード知ってる!」「こんなエピソードがあったのか」といった楽しみ方が出来るのも歴史をテーマにしたラノベならではだろう。

どんな英雄たちがこれから出てきて、ヒジーや沖田がどう乗り越えていくのか。続刊が楽しみである。近藤さんは来るのかな?
テキスト:タニグチ リウイチ
ざっくり言うとこんな作品
1)『織田信奈の野望』の作者が得意にしている歴史の知識と偉人の美少女化を取り込み、異世界で新選組オタクが沖田総司やジャンヌ・ダルクを味方にのし上がる盛り盛り設定!
2)美少女になった沖田総司は愛らしいけど剣の腕も病弱設定も歴史のまま。愛刀がなければ必殺技を出せないハンディを克服するため沖田の愛刀をさがす冒険ストーリーがわかりやすく面白い。
3)ヒジー・カーターという、名前は似てても土方歳三のようには強くもかっこよくもない主人公に興味を持って導こうとする鬼の教師のその正体とは? 巧妙な伏線に、二度読み必至!?
主要キャラ紹介
ヒジー・カーター
日本から異世界に転生した少年。新選組オタクで土方歳三と似た名に運命を感じている。共に戦うシュバリエとして沖田総司(女性)を召喚し学園トップの一番隊組長を目指す。

沖田総司
ヒジーが知っている青年ではなく巨乳の少女だが、剣の腕は凄まじく新選組の一番隊組長として活躍していた。肺結核に倒れたところを外様英雄(ルーザー)として召喚される。

サーシャ
ヘンリエッタ王女が召喚した、その世界で過去に活躍した現地英雄(ウィナー)の少女でデュエルでは無敗無敵を誇る。沖田の剣に興味を抱き手合わせを願う。驚きの正体を持つ。

アクロイド先生
ヒジーを目の敵にする召喚術学園の教師。召喚された沖田のダンダラ羽織に反応し、異世界から流れ着いてくる日本刀を密かに集めていて、ヒジーと沖田のピンチに出して与える。

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燃えよ剣と魔法 異世界で美少女沖田総司を召喚したら、歴史知識で懐かれた日本から異世界に転生した新選組オタクの俺、ヒジー・カーター。
転生先で得た、鬼の副長を思わせる運命的な名前に喜んだのもつかの間、
入学した召喚魔術を教える学園では魔力ゼロの落ちこぼれで、退学の危機に瀕していた。
切羽詰まった俺の求めに応じて召喚されたのは、爆乳美少女な沖田総司!?
推しを前にオタク心が暴走してしまう俺だが――
「そ、そんなに私が好きなんですかぁ、えへへ」
新選組愛を語ってたら、やけに懐かれた!?
しかし、異世界では無名の沖田は最弱の英雄で……。
退学を免れる方法は、前世の歴史知識で沖田を強化し、学園で成り上がること。
俺の知略で沖田を無双させ、異世界の英雄を斬り伏せていざ快進撃!
「こ、この世界で一番、私のことをよく知ってるんですね……」
可愛すぎる武士と心通わせ、異世界に新選組の旗を掲げろ!発売日: 2025/07/18ファンタジア文庫