【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はファンタジア文庫から7月18日に刊行された『神と悪魔がデートをするなら、どちらが奢るべきか? ~恋は神魔最終戦争のあとで~』です。みなさんの感想も聞かせてください!
「男女がデートをした場合、どちらが奢るべきか?」
ここで令和の世を生きる先進的な男性なら「男女平等の世の中だし、割り勘でいいんじゃない?」と考えるかもしれない。本作の主人公・スサノオくんも、フラットにそんなことを言ってしまう。そうだそうだ! 『男子が奢るべき』だなんて、昭和から平成にかけての古の風習だ! しかし、彼と前世から付き合いのあるクシナダヒメは「そういう場合は男が奢るものでしょう?」と一刀両断……え、そうなの?

そんな感じで、本作では、複数の男女が恋愛に関する様々な価値観をぶつけあっていく。「男女の友情は存在するか?」「自分のためのファッションとは言っても、本当は異性の目を意識しているんじゃないか?」うーん、どれも意見の割れそうなテーマばかりである。
そうしたテーマに基づいて繰り広げられる舌戦の中には、読んでいて「そうだそうだ!」と頷ける意見もあれば「いや、それはどうなの?」と思ってしまう意見も。どちらかの主張に自身の意見が近いと、読んでいるうちに自然と議論に入り込んでしまうのは面白い仕掛けかもしれない。読者を巻き込む新しいエンターテインメントの形というか、ラノベらしい実験的な読書体験だと思う。

ただ一つはっきりしているのは、どの意見にも共通して、彼らの主張には物語の中に生きているキャラクターの血がしっかりと通っているということ。
決して誰でも言える模範解答や綺麗ごとというわけではなく、彼らの性格や生き様が、そのまま彼らの主張に乗っかっている。登場人物も世界各地の神話の神々であるだけに全員キャラクターが異様に立っていて、そんな彼らがバトルを交えつつも繰り広げる議論が最高に面白い。また議論のようでいて、その実体は痴話喧嘩のようでもあり、随所にイチャイチャしている感じが出ているのもとっても良い!
でもねぇ、互いの経済力にもよりますけど、僕は基本、デートは割り勘がいいと思いますよ、クシナダヒメ様……。
テキスト:柿崎憲
ざっくり言うとこんな作品
1)最終戦争を終えて、二周目の世界を学園都市で生きることになった神々や悪魔たち。彼らに与えられた新たなミッションは、この学園で恋愛をすること!
2)意見が割れた時、どちらが正しいか決めるのが神魔決闘(タイマゲドン)! 己の正しさを証明するため、激論を交わしながら神々や悪魔ならではのド派手なタイマンバトルを展開していく!
3)「デートでは男性が女性に奢るべきか?」を始めとする男女の恋愛にまつわる議論の数々。どちらの言うことにも説得力のある議論の行きつく先は……!?
主要キャラ紹介
スサノオ
天乃宙学園の中等部に通う学生。一周目では荒神として恐れられていたが、二周目では「宇宙一空気を読まない男」としてマイペースに学校生活を過ごしている。

パンドラ
天乃宙学園の寮生で、寮内でいじめに遭い、部屋に戻れなかったところをスサノオに助けられる。他人との距離を詰めるのが上手い、小動物的な可愛さをまとった女子。

クシナダヒメ
一周目からスサノオと縁のある少女。色々と空気を読まないスサノオの面倒を見がちな、おせっかい焼きのツンデレ。朴念仁のスサノオと違い、男女のデートに関しては一家言ある。

アマテラス
スサノオの姉でスサノオと一緒の家に暮らしているが、何かあるとすぐに自室に閉じこもる。天乃宙学園では調停委員に所属しており、神魔決闘の立会人を務めることも。

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関連書籍
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神と悪魔がデートをするなら、どちらが奢るべきか?~恋は神魔最終戦争のあとで~《平和になった世界で勃発したのは……男と女の恋愛戦争!?》
熾烈を極める全面戦争を繰り広げた神々と悪魔は、歴史的和解へと至り、ついに終戦を果たした。
平和が訪れた二周目の世界で、彼らは輝かしい青春を謳歌する、ハズだったのだが――
「デートしといて割り勘とか、マジでありえないんだけど!」
「そんなにエロい格好するって……男に見てほしいんだろ?」
――平穏な世界で新たに勃発したのは、男女のすれ違いから巻き起こる“神魔大戦級”の痴話喧嘩〈ラブ×バトル〉!?
恋愛をめぐる男と女のいざこざは、神々にも悪魔にも平和的解決が難しいようで……
古今東西の神話を騒がせた神魔が結集する巨大学園都市《天乃宙学園》を舞台に、男子寮と女子寮の猛者たちが激突する!!発売日: 2025/07/18ファンタジア文庫