【新作ラノベ先読み感想文レビュー】
今回はファンタジア文庫から8月20日に刊行された『異世界ダンジョンマスター 温泉ダンジョンを作る』です。みなさんの感想も聞かせてください!
仕事や生活に追われていると、たまにはのんびり休みたいと強く思う。どこか旅行でも行きたいなあ。でも忙しくてどこにも行けず……せめて面白いラノベを読んで、しばし現実の煩わしさから逃れたい! と思って本作を読んだら大当たり!
ふつう、ダンジョンといったらモンスターが出現したり、危険なトラップがあったりして、決して楽に探検できるものではないのだけど、本作の主人公が作るダンジョンは、冒険者たちが探検を進めれば進めるほど、さまざまな効能の温泉がある階層が発見できる構造になっている。え? 宝とかじゃなくて、待っているのは温泉? この発想はなかった……と読みはじめたら、あっという間に物語に没入してしまった。
たとえば、お肌がスベスベになる温泉の次は、髪がツヤツヤになる温泉、さらには3歳ぐらい若返る温泉が見つかるという具合に「美容」という名の欲望を巧みに誘導して、多くの冒険者をダンジョンに導く主人公の経営戦略にも感服! ファンタジー世界の物語でありながら、経営シミュレーションゲーム的な楽しさを兼ね備えており、次はいったいどんな風に発展していくのかが、ずーっと気になるのである。「温泉」をテーマにしたお話だから、ともしもお風呂で入浴しながら本作を読んでいたら、きっとのぼせてしまっていただろう。

そして、なんといっても、温泉に入る女騎士たちの気持ち良さそうな様子が羨ましくて仕方がない。文章もイラストも、説得力がピカイチなんだもの。とくに王国第一隊長のトウジが傷だらけの体を温泉で癒やし、女っぷりが上がる場面を読んでいたら、温泉に入りたくてたまらなくなってしまった。飯テロ系のラノベは読んだことがあるけれど、まさか風呂テロとかいう新ジャンルの体験に出会うとは……。ラノベってまだまだ可能性の泉だな。

自分は男だから髪がツヤツヤにならなくてもいいとは思うけど、お肌がツルツルになるのはちょっと嬉しいかも……なんてことを妄想するだけでも楽しくなってきた。自分のようなちょっとお疲れ気味の人には、ほんとにいいお湯、もとい小説だと思う。いい湯に浸かってリフレッシュ! みたいな感じで、深みと温かさに満ちた物語世界に身も心も浸かってみては?
文:勝木弘喜
ざっくり言うとこんな作品
1)異世界に転生した主人公がいそしむのはダンジョン経営! 多くの冒険者たちを呼び込むために取った作戦はなんと「温泉」で!?
2)ダンジョンにはさまざまな美容の効果がある温泉がたくさん湧いていて、異世界の女騎士や冒険者たちが殺到するほどの大人気に――。
3)やがて美容を超えて、温泉ダンジョンは国家レベルの経済や外交に至るまで、異世界に予想外の大変革をもたらす!?
主要キャラ紹介
マスター(ダンジョンマスター)
ダンジョンマスターとして転生した主人公。経営ゲーム好きだった前世の経験を活かし、冒険者たちの人気を集めるため、ダンジョンを温泉にして巨大化を目指す!

ペタちゃん(ダンジョンコア)
ダンジョンの意志が形になった存在。経営の知識やセンスを頼って、転生した主人公にダンジョンの経営を任せる。ぺたんこ胸のため「ペタちゃん」と呼ばれる。

アウフ
セパンス王国、ナウサ公爵家の令嬢。肌の病気痕のため長く引きこもっていたが、温泉ダンジョンの効果で劇的に治癒。以来、積極的にダンジョンの情報収集と探索に挑む。

トウジ・ノーユ
セパンス王国第一部隊隊長。戦闘に明け暮れていたことから、皮膚が硬質化するほどの身体だったが、温泉でシミやシワが消え、10代の乙女のようなぷるぷるの柔肌に!?

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関連書籍
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異世界転生ダンジョンマスター 温泉ダンジョンを作る「あなたは、ウチのダンジョンマスターとして転生したのです」
異世界に転生し、ダンジョン経営を任された俺。
ダンジョンを大きくするのに必要なのは貴重な宝物? 強いモンスター?
なんだか違うな。要は大勢の客が駆けつけてくればいいんだろ。
「よし……温泉ダンジョンを作るぞ」
美肌の湯に若返りの湯。日本の温泉文化にかかればホスピタリティも完璧だ。
温泉ダンジョンはすぐに噂を呼び、美容を求めて女騎士や貴族令嬢が殺到。
女王様までもが目の色を変えて飛び込んでくる。
さらに、国家レベルの経済や外交に至るまで、温泉ダンジョンは異世界に予想外の大変革をもたらし――!?
書籍化にあたり、アウフお嬢様がダンジョンに初めて挑戦する、書き下ろしエピソードも収録!発売日: 2025/08/20ファンタジア文庫