エウロパの底から
発売日 :
2014/03/25
我が小説を『模倣』する犯人は誰だ? いや、まさか。
私は小説家だ。そしてこれは私の小説だ。私が心血を注いだ惨殺があり、私が身を削るように描いた苦悩がある。文の始まりから果てまで、すべてが私だ。だから、私は『犯人』ではない。私は、小説家なのだ。
- レーベル: メディアワークス文庫
- 定価: 627円(本体570円+税)
- ISBN: 9784048665087
メディアワークス文庫の新刊
みんなのレビュー
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mae.dat2025/04/09250ネタバレありエウロパ。木星にあるガリレオ衛星の一つ。SFなのかなぁと思ったんだけどね。何なんでしょうね。これは。うーんと、超展開ではある。エウロパはちょいちょい出てくるけれども、エウロパあんまし関係無いような。ミステリー? サスペンス? なものに、オカルトチックなものを添えて物語は進行して行きますよ。そしてね、メタフィクションが冴えるのよ。【ネタバレ注意⚠️】著者は物語の中では神であり預言者でもあるし、そうなれるのですかね。ネタバレ濃過ぎになってしまうのでこれ以上の詳述は避けますが、ラストの解釈の幅がなかなか好いね。
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よっち2014/06/2745作家としての才能に疑問を感じていた主人公が、現状打破のため医師の実験台になり、イメージとして湧いた殺人事件を小説にしたところ、そこから描かれた内容で実際に事件が続いてしまうお話。作者が犯人なのか、模倣犯なのか、はたまた予知能力なのか。作家としてのプライドから葛藤があった主人公も、最後は作家ならではの方法で、守るべきものを守ったというところですか。どういう結末を迎えるのかという緊張感はありましたが、結末は普通でしたね。作家の家に転がり込んできた女の子と、飄々とした女刑事は話のいいアクセントになっていました。
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おかむー2014/04/2245いつも期待して読んではテイストが合わない入間作品、今回は奇抜な個性や倫理観がでしゃばっていないのでテイスト的には許容範囲。しかし、主人公の小説家「私」の書いた小説のとおりに起こる殺人事件の真相やいかに?といったストーリーで、事件との私のつながりにどんな仕掛けやどんでん返しがあるかを期待していたら、仕掛けよりも私の小説家としての在り様のほうに比重が置かれていて、仕掛けは「あれ?どんでん返らずにそのまま?」と肩透かし。他作品との絡みがわかるとまた違った見方もあるようだけど…『もっとがんばりましょう』だなぁ
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チェシャ猫2014/11/0139これは入間さんの本音が何%含まれているの??!!作家としての誇りと現実の葛藤の中でもがく姿が熱いです。こういう作品は本当に上手いなぁと思います。夢枕獏の作品もこんなのがあって好きでしたが、やっぱり入間さんのこういう作品が好きです。
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T.Y.2014/03/2627小説家の私は、怪しい医者の治療がきっかけで、強烈なアイディアを得るようになる。だがそれに基づいて書いた小説の通りの殺人事件が現実に起きる。メタミステリの構図だが、「私」にとって問題なのは自分が殺人犯か否かではなく、これが現実の事件を予知した「模倣」ではないと示すこと――自らが「小説家」である証。多くの点で作者自身を思わせる主人公(しかし細部データには差異あり)の作家として悩む日常から事態は怪事件にシフトし、作中でも小説と現実が重なり、二重に虚実が交錯する。そしてこの作品を書いていたのは誰なのか…
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