七月のテロメアが尽きるまで
発売日 :
2018/04/24
二人の結末を見届けた時、きっともう一度読み返したくなる――。
人付き合いを避け生きてきた高校生の内村秀は、ある日クラスメイトの飯山直佳が落としたUSBメモリを拾う。その中身、「遺書」を見てしまったことから、奇妙な交流は始まった。やがて秀は直佳が進行性の記憶障害を患い、自殺を願っていることを知り……。
「君が死ぬときは、僕も死ぬ。それが嫌なら君は生き続けろ」
「……内村くん、すごく馬鹿なこと言ってる自覚は?」
約束に隠された本当の想いを知った時、きっと最初からページをめくりたくなる。切なく美しい物語。
「君が死ぬときは、僕も死ぬ。それが嫌なら君は生き続けろ」
「……内村くん、すごく馬鹿なこと言ってる自覚は?」
約束に隠された本当の想いを知った時、きっと最初からページをめくりたくなる。切なく美しい物語。
- レーベル: メディアワークス文庫
- 定価: 649円(本体590円+税)
- ISBN: 9784048938532
メディアワークス文庫の新刊
みんなのレビュー
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黎明卿(禍腐渦狂紳士タッキー)2018/05/22120〝許されてしまう気がするから、見たくなかった。僕は許されたくない。君の命を救えない僕を、許したくない(内村)〟人付き合いを避けてきた高校生・内村と自殺を望む記憶を失いつつある少女・飯山。自殺をしてもしなくても避けられない、痛みや苦しみを伴う決められた結末。救いがない重めなストーリーでありながら、飯山の明るい性格や内村の捻くれた性格が奏でる音が悲壮さを薄味にしている。それでも、飯山を救えない内村の苦悩や無力感がずしっとくるし、無力ながらも飯山に生きてほしいと願う内村の想いが切なく、この結末に泣いてしまった。
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佐島楓2018/05/0169ネタバレあり無力感ばかりが募る。それは若くして亡くなった彼女のせいではなく、病を抱えているすべてのひとに対していつも思うことだ。誰にも治せず、誰にも死期は決められない。ひとは生まれたときから死に向かっているというどうしようもない事実。
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ami*152018/07/1850ネタバレあり生きることの素晴らしさ、力強さ、美しさをひしひしと感じた素敵な物語でした。作中でよく使われていた「透明」という色、秀がプチトマトが嫌いな理由を「人の体が潰れる音みたい」と話していたシーン、雨や水の透明感のある描写はとても天沢さんらしさが出ていたと思います。誰でも生きることには必ず意味がある。クライマックスで秀が直佳に「生きろ」と声を何度もかけるシーンには生命の力強さにただただ感動という言葉しか思いつかない程でした。作風が爽やかなイメージのある作者ですが、今作はしっとりめなお話で新鮮な感じを受けました。
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まりも2018/06/1645これは記憶を失いつつある少女と、人付き合いを避けて生きてきた少年の交わした約束の行方を描いた青春物語。あぁ、いいな。天沢夏月さんの描く物語はなんでこんなに美しいんだろう。言葉では言い表せない読後感に浸らせてもらった。叙述トリックを用いたミスリードも見事だが、この作品最大の魅力はやっぱり言葉一つ一つに込められた想いだろう。まるで透明みたいに美しく、それでいて儚い。この物語の結末を見届けた後、再び読み返した時、きっとまた違った空気を感じ取れる。そう思える素敵な1冊でした。雨の日に読むと尚良いかもしれない。
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よっち2018/04/2444人付き合いを避け生きてきた高校生の内村秀。ある日クラスメイト飯山直佳が落としたUSBメモリを拾い、中身の遺書を見てしまったことから奇妙な交流が始まる青春小説。彼女が進行性の記憶障害を患って自殺したがっていると知り、関わりたくなかったのに気になって仕方ないと自覚した秀が交わしたひとつの約束。秘密と約束を共有するようになった二人に訪れた転機と、やがて明らかになってゆく秀の苦い過去があって、その全てが繋がってゆく急展開には驚かされもしましたが、決着をつけた二人のその後のありようにはしっくり来るものがありました。
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