とにかく“やるしかない”状況にもっていく! 東雲うみ流のチャレンジメソッド【アンバサダー/東雲うみ】

アクションをカッコよく見せたい! そのためにはじめたこと
──グラビア活動を中心に活躍される東雲さん。先日には、大河ドラマ『べらぼう』(NHK)にも出演されました。初の本格的なドラマ出演だったそうですね。
東雲うみ(以下:東雲):そうなんです。以前は演技することに少し苦手意識があったのですが、大河の現場に入らせていただいて、大勢のスタッフたちでひとつの作品を作る――そのきらめきとかチームワークの良さにびっくりしました。こちらの勝手な想像で、ドラマの現場はもっとクールな感じだと思っていたので、前向きに何かを作り上げるみなさんの姿勢に触れて、本当に参加できて良かったなと思いました。
──今後も俳優活動は続けて行きたいと思っていますか?
東雲:はい! もちろん最初は主役でなくとも、作品の一部になれたらうれしいなと思います。ゆくゆくは大きな役もいただけるような演技をできるようになりたいです。

――今回は「新しいチャレンジ」をテーマにインタビューをしているのですが、東雲さんと言えばプラモデル制作や油絵、大道芸など多趣味で知られます。最近、新たにはじめた趣味はありますか?
東雲:これもドラマの活動に少し繋がるかもしれませんが、アクションを習うようになりました。もともと、マーベルヒーローやウルトラマン、特撮系も好きなのですが、私みたいなスタイルの人がバリバリアクションできたら面白いじゃないですか(笑)。
――アクションを体験してみて、いかがですか?
東雲:アクション監督をされている方から直接手ほどきを受けているのですが、まず体幹がないとはじまらないんです。とは言え、アクションの講座は月1回なので、それだけやっていても体幹までは強くならないですし、普段から戦っているような動きにはなりようがないですから。その対策として、私は同時にキックボクシングをはじめました。
――アクションのために、キックボクシングまで!
東雲:それくらいしないと、戦っている人の身体つきにはならないでしょうし、蹴りの入れ方も自然にならないと思ったので。何よりもまず、カッコよく構えられるように。
――なるほど。さすがはモデラー、まずは構えなど「型」を大事にされているわけですね。
東雲:確かに、ガンプラに通じるものはあるかもしれないです。ちょっとポージングの角度を変えただけでカッコよくもカッコ悪くもなるので。
――最終的には、アクション映画で主役を張れるようになりたいですか?
東雲:映像映えするレベルにはなりたいと思っています。教えてくださっている師匠がブルース・リーの大ファンなのですが、彼が映画を撮影するときにどういうアクションをしていたのか教えてくださったのが印象的で。例えば、映画だと画角が横長なので、身体全体が入りやすいように重心を下げて、腕を伸ばして構えるんだそうです。そうやって、自分がどう映るかを思い描いてポージングを作り上げる姿勢は、私も見習いたいところです。

オタク文化に恩返ししたい、それがモチベーション!
――グラビアデビューからここまでかなりのスピードで駆け上がって来られましたが、大きな挫折はありましたか?
東雲:挫折かぁ……今のところ、後悔している仕事はないです。もちろんバラエティではアピールが難しかったり、会話の切り返しがうまくいかなかったりしたときに反省はするのですが、挫折とは思わずやってきました。
――そこまで深くショックを引きずらないようにしている、と
東雲:もちろん、どんな仕事でも“今日は●●点だったな”と自己評価するので、それが明らかに低いときは落ち込みます。でも、泣いて発散してその日のうちに忘れるようにしています。趣味もストレス解消には欠かせないですね。筋トレするのもそうですし、アニメやマンガ、プラモデル制作に没頭すれば次第にショックは薄れていくので、助けられています。それは幼い頃から変わらないですね。学生時代、精神的にふさぎ込む時期もあったのですが、そのときにオタク文化やアニメに救われてきたので。今の活動の大きなモチベーションになっているのは、その恩返しがしたい、という気持ちです。
――ちなみに、新しいチャレンジをするときは不安や緊張があると思いますが、どのように対処していますか?
東雲:とにかく私は“これをやろう”と思い立ったら、その日にはじめます。鉄は熱いうちに打て、と言いますが、ちょっとでも寝かせてしまうと億劫な気分になるので。例えばプラモデルをはじめたときは、その日のうちにニッパーや塗料など道具一式を揃えちゃいました(笑)。キックボクシングやパーソナルジムに通おうと思ったときも、当日予約や体験入会できるところをネットで探して、その日のうちに。
――思い立ったらすぐ行動、を実践してきたわけですね。
東雲:そうですね。そうするとだんだん趣味は増えていくし、できることも増えていくので良いこと尽くめです。まずは挑戦すること自体を大切に、深く考えずに始めてみるのが一番だと思います!
趣味でもなんでも、やろうと思えばある程度はマスターできるはず
――ただ、やってみたら違ったとか、周囲とムードが合わないと思ったら、すぐ辞めるのもアリですか?
東雲:辞めるハードルは低くあって良いと思います。自分に合うものだから趣味、なので。とにかく、はじめる前に考えちゃうと、はじめない言い訳も一緒に考えてしまう。“やるしかない!”状況にもっていくのが大事ですね。
――では、プラモデルも組むと決めたらすぐ組むような、「積まない」タイプですか?
東雲:いや、めちゃくちゃ積んでいます(笑)。積んで満足するのもモデラーあるあるですから……。すでに自宅にあるものだけで、一生かかっても作りきれないかもなぁと思っています(苦笑)。
――(笑)。それぐらい衝動に任せるのも、趣味の世界では大切だと。
東雲:世の中にある趣味でもなんでも、やろうと思えばある程度はマスターできるはずなんです。もちろん、本気で取り組むことが前提ですが、私はそれが“できる”と思ってしまえる性格で、そういうメンタルで飛び込んでいくことが多いですね。例えば油絵は、ルーブル美術館で見たときに“私も描けるかも!”と思ったという。正直、それはとんでもない勘違いじゃないですか(笑)。でも、日本に帰ってきてすぐに画材を買いに行って、そのまま描きはじめました。
――やりたいという気持ちに正直であることが、多趣味に繋がっているんですね。
東雲:それで失敗したこともたくさんあります。でも、やってみないとわからないことが多いので。
カルチャーを楽しんでいる立場として、同じ目線からの発信にこだわりたい
――すでにグラビアアイドルとして地位を確立したところがありますが、今後、チャレンジしてみたいことはありますか?
東雲:グラビアの仕事ではかなりいろいろな経験をさせてもらいましたが、そこで得た知識をコスプレに活かしたり、オリジナルの衣装を制作して発信したりに繋げていきたいですね。私がコミケで売っている同人誌(写真集)だと、衣装はすべてオーダーメイド。布の透け感やエナメル素材の反射の仕方にもこだわっているんです。そういう撮影では、被写体である自分の身体=フィギュアに見立ててイメージを膨らませているのは、モデラーならではかもしれません。
――東雲うみとしての将来的なビジョンはありますか?
東雲:アイドルからはじまって、アニメ、マンガ、ラノベなどカルチャーに助けられてきたので、それを発信する活動はずっと続けていたいですね。こんな面白いアニメがあるよ、こんな面白いプラモデルが出たよ、と、私の発信から知ってハマってくれたら嬉しいですし、ありがたいことにSNSのフォロワー数も多くなってきたので、それを存分に使って良い日本の文化を広めたいなと思います。
――カルチャーの水先案内人というか。
東雲:そうなれるように友人や知り合いを増やしていきたいですね。ただ、あくまで自分は紹介しますよ、と上から語りかけるのではなく、カルチャーを楽しんでいる立場として同じ目線からの発信にこだわりたいです。私が楽しそうにしている姿から“なんかおもしろそう!”と思ってもらえたら。
――YouTubeやSNSでの活動は、その一助になっていますね。
東雲:SNSでの発信のおかげで、イベントなどで会話できるときに、みんな友達のように気さくに話しかけてくれます。“この前のガンプラ動画、面白かったよ”とか、“最近発売されたガンプラのここが良いよね”とか、オタクの世間話に花が咲きます(笑)。
――アーティストとしてではなく、あくまで身近な存在として。
東雲:アーティスティックな部分は作品で表せれば。プラモデルとか、油絵とか、グラビアとかはそうですね。『組んでみた動画』とかは一種の見せ合い、コミュニケーションです。“私はこう仕上げました。あなたはどうしたんですか”、みたいなやり取りを、これからもずっと続けていきたいですね。

※特別インタビュー第2弾は2025年7月29日(火)に公開予定です
取材・文●森樹撮影●長峯正幸

東雲うみ(しののめ・うみ)
9月26日生まれ。グラビアモデル、コスプレイヤー、YouTuber、モデラー。2020年にグラビアデビュー。SNSの総フォロワーは370万人以上。趣味はガンプラ、油絵、羊毛フェルト、筋トレ。特技は華道、弓道、バルーンアート、大道芸。写真集に『うみのなか』(ワニブックス)、『きみはうみがすき』(トランスワールドジャパン)、『うみの近く』(講談社)などがある。
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